ワンちゃんの病気について
人間であれば調子が悪い部位を質問することで、どこがどの程度痛むのかなどを言葉によるコミュニケーションで理解しあうことができます。しかし、ワンちゃんの場合は言葉が通じませんから、飼い主様が日々細かく管理することが必要です。ワンちゃんの種類や年齢によってかかりやすい疾患を知って、行動に変化がないかを観察することで、病気を軽症のうちに発見することも可能です。早期に発見できれば治療をしやすいですし、苦痛も少なくて済む場合が多いです。食事の量や排尿、排便などに気を配り、変わった行動がないかを気にかけて、気になることがあればぜひ早めに当院にご相談ください。
疾患例一覧
ワンちゃんがかかりやすい疾患を一部紹介します。
以下のような症状がみられる場合はお早めの診察をお願いします。
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皮膚・耳の疾患例
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アトピー性皮膚炎
初期には皮膚が赤くなり、痒みがあることからひっかくことも増えていきます。次第に患部が硬くなり、色も黒くなっていきます。投薬で炎症や痒みを抑えながら、肌ケアのアドバイスもしていきます。
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外耳炎
外耳道に炎症が起こる疾患で、痒みが出ることからひっかいたり、頭部をしきりに動かしたりするので行動から気付く例が多いです。定期的な耳掃除で治る例もありますが、改善が見られない場合はご相談ください。
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膿皮症
毛穴に細菌が侵入して起こる感染症の一種です。患部が赤くなったり、湿疹や痒みが出たりするほか、円形脱毛も見られます。また、膿疱ができる場合もありますし、フケが増えるケースもあります。
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眼の疾患例
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角膜潰瘍
角膜に傷がついたことや感染が起きたことで発症します。薬液の点眼や保護用のコンタクトレンズ装着で対応する例が多いです。ただし、犬種によって難治性になりやすい場合があり、外科的処置をする例もあります。
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眼瞼腫瘤(マイボーム腺腫)
まぶたのマイボーム腺と呼ばれる涙を内包する部位にできる腫瘤です。これ自体は悪性ではありませんが、マイボーム腺腫が原因となって角膜にキズを生じることもあるので、外科的処置で取り除きます。
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結膜炎
結膜とは角膜輪部を覆う半透明の膜ですが、炎症を起こして、流涙や眼脂、充血や羞明などの症状が出ることがあります。検査時に眼圧測定やフルオレセイン染色を行ってほかの疾患と鑑別します。
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消化器疾患例
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誤食・誤飲
ワンちゃんはいろいろなものを口に入れてしまう習性があるので、誤飲のリスクが少なくありません。また、人間にとっては食べられるものでも犬の場合は疾患にむすびつく可能性があるので注意が必要です。
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IBD
IBDは腸に起こる炎症です。炎症が悪化すると食欲が低下して体重が減少し、嘔吐や軟便などが見られます。また、血液が凝固しやすくなったり、おなかに水がたまりやすくなったりすることもあります。
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膵炎
膵臓に起こる炎症で、消化酵素が自己組織障害を発生させることが原因で起こります。また、ほかの部位から炎症が波及して発症することもあります。重症化すると生命に関わるので、早期発見・早期治療が重要です。
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腎臓・泌尿器疾患例
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腎不全
腎臓が機能しなくなる疾患です。急性腎不全と慢性腎不全があります。初期には目立った症状が出ないこともあって、気づいた時には病気が大きく進行しているケースも少なくありません。
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膀胱結石
膀胱(ぼうこう)に結石ができると、尿管や尿道を閉塞したり、尿路に傷をつけて炎症の原因となったりすることもあります。治療は投薬や食事療法でできるケースもあるので、まずは状態の確認を丁寧に行います。
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膀胱炎
細菌感染や結石による損傷などで起こる炎症です。症状としては排尿時の痛みや血尿、頻尿のほか、排尿困難が見られる場合もあります。再発しやすい傾向を持つ疾患なので、状態の把握が欠かせません。
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