①必要な検査をすること、必要ではない検査はしないこと
ワンちゃんやネコちゃんの嘔吐や下痢は、ほとんどの場合は、一過性のもので、適切な治療によりすぐに改善することがほとんどです。ですが、一部で重大な病気が隠れており、適切な検査や原因疾患へのしっかりとした治療が必要となる場合もあります。当院では、そのあたりを問診や一般身体検査から判断し、飼い主様と十分相談してから、必要と判断されれば検査をお勧めさせていただいております。
立川市・東大和市・小平市・国分寺市・武蔵村山市・昭島市の皆様、こんにちは。
東京都立川市にあるあまの動物病院の獣医師です。
今回は、猫の嘔吐について詳しく解説していきます。猫が嘔吐を繰り返すことは飼い主にとって心配の種ですが、実際には多くのケースで軽微な原因であることもあります。しかし、場合によっては重大な病気が隠れていることもあるため、注意深く症状を観察し、早期の対処が重要です。
当院では、猫の嘔吐に関する診療を行っておりますので、嘔吐が気になる場合はぜひ一度ご相談ください。
猫の嘔吐はそのまま見過ごすこともありますが、頻繁に嘔吐が見られる場合や、嘔吐物に異常が見られる場合は注意が必要です。通常、猫は1回の食事後に軽い嘔吐をすることがありますが、これは食べた物を吐き戻すことが原因です。例えば、毛玉を飲み込んでしまい、それを吐き出すことがあります。このような場合、猫は食欲を失うことなく元気に過ごします。
しかし、嘔吐が頻繁に起こる場合や痩せてくるなど、以下のような症状が見られる場合は、病気の可能性もありますので、獣医師に相談することをお勧めします。
嘔吐の内容物や猫の状態を観察することが、原因を突き止める手がかりとなります。
猫の嘔吐には多くの原因が考えられます。代表的なものとしては以下のようなものがあります。
猫は自分の体を舐めることで毛を飲み込みます。毛は消化できず、腸に溜まると最終的には嘔吐として排出されます。これは特に長毛種の猫に多い症状で、毛玉の吐き出しは通常、健康的な排出行為と考えられています。
食事が原因で嘔吐が起こることもあります。食べ過ぎや食べる速度が速すぎること、または特定のフードにアレルギーがある場合などです。急いで食べた際に空気を一緒に飲み込み、胃を圧迫することが嘔吐の原因になることもあります。
猫の消化器系にはさまざまな病気があります。例えば、胃腸炎や異物や腸運動の以上による腸閉塞、腫瘍、膵炎などが原因で嘔吐が生じることがあります。特に腸閉塞は緊急を要する症状で、すぐに手術が必要となる場合もあります。
ウイルスや細菌の感染も嘔吐を引き起こすことがあります。猫パルボウイルスや猫風邪など、感染症による嘔吐は一般的に食欲不振や元気消失、下痢などと一緒に現れます。
例えば甲状腺の疾患や慢性腎臓病など、内分泌系やその他内臓の異常が嘔吐を引き起こすこともあります。特に高齢の猫や長期間にわたる症状の場合、こうした疾患が疑われることが多いです。
猫は時折家庭で使われている化学物質や植物などに接触し、それが中毒症状を引き起こすことがあります。嘔吐の他にも、痙攣や意識障害などを伴う場合があります。
猫の嘔吐の原因を特定するためには、いくつかの検査が必要です。
獣医師はまず猫の症状や嘔吐の回数、嘔吐物の内容を詳しく聞き取り、身体検査を行います。
その後、必要に応じて以下のような検査を実施します。
血液検査は、内臓疾患や感染症、内分泌疾患の有無を調べるために重要です。例えば、肝臓や腎臓の機能が低下している場合、嘔吐が症状として現れることがあります。
腹部の超音波検査を行うことで、胃や腸、膵臓などの状態を確認することができます。腸閉塞や腫瘍などが疑われる場合、この検査が有効です。
レントゲンを使って、腸に異常がないか、または異物が詰まっていないかを確認することができます。消化管に異物がある場合、それが嘔吐の原因となっていることがあります。
内視鏡を使って消化器官内部を直接確認することもあります。特に胃腸の問題が疑われる場合に行われることがあります。
猫の嘔吐の治療法は、原因に応じて異なります。主な治療法について解説します。
毛玉による嘔吐の場合、毛玉を排出するためのサポートが行われます。毛玉除去用のフードや、毛玉を排出しやすくするための薬やサプリメントを使うことが一般的です。また、定期的にブラシをかけることで毛の飲み込みを減らすことも大切です。
食事による嘔吐がある場合は、フードの変更や食事の回数を分けることが有効です。速食いを防ぐために食器の工夫や、食事の量を小分けにして与えること、フードの形の変更が役立ちます。アレルギーが疑われる場合は、アレルゲンを避けた特別なフードへの変更が必要です。
消化器系の病気が原因である場合、抗炎症薬や制吐薬、抗生物質などが処方されることがあります。感染症や消化器の炎症がある場合は、これらの薬が嘔吐を抑える助けとなります。
腸閉塞や腫瘍などが原因で嘔吐が発生している場合、手術による治療が必要となることもあります。このような場合、早期発見が重要です。
ワンちゃんやネコちゃんの嘔吐や下痢は、ほとんどの場合は、一過性のもので、適切な治療によりすぐに改善することがほとんどです。ですが、一部で重大な病気が隠れており、適切な検査や原因疾患へのしっかりとした治療が必要となる場合もあります。当院では、そのあたりを問診や一般身体検査から判断し、飼い主様と十分相談してから、必要と判断されれば検査をお勧めさせていただいております。
検査が必要とされた場合、血液検査、レントゲン検査、超音波検査、糞便検査が実施可能です。内視鏡処置や外科手術などが必要な場合も対応可能です。
異物の除去から、腫瘍の切除、消化管の吻合など様々な手術実績があります。また、胃捻転や消化管閉塞など、緊急を要する手術も可能です。消化管の手術は、術後の入院管理も重要になります。当院では、輸血を含むカロリー輸液やカテーテルによる経胃経腸栄養療法などで、治癒の促進に努めています。
猫の嘔吐にはさまざまな原因がありますが、単なる毛玉の排出から命に関わる病気まで、幅広い可能性が考えられます。
嘔吐が続く、または猫の様子がおかしいと感じた場合は、早めに獣医師に相談することが大切です。
あまの動物病院では、猫の嘔吐に関するさまざまな診断と治療を行っており、飼い主の皆様の不安を解消するお手伝いをしています。
猫の健康は早期の対処で大きく改善します。ご相談をお待ちしております。