①必要な検査をすること、必要ではない検査はしないこと
ワンちゃんやネコちゃんの嘔吐や下痢は、ほとんどの場合は、一過性のもので、適切な治療によりすぐに改善することがほとんどです。ですが、一部で重大な病気が隠れており、適切な検査や原因疾患へのしっかりとした治療が必要となる場合もあります。当院では、そのあたりを問診や一般身体検査から判断し、飼い主様と十分相談してから、必要と判断されれば検査をお勧めさせていただいております。
立川市・東大和市・小平市・国分寺市・武蔵村山市・昭島市の皆様、こんにちは。東京都立川市にあるあまの動物病院です。
今回は、猫の下痢について、その症状や原因、診断、治療法について詳しく解説いたします。
猫の下痢は多くの飼い主さんが経験する症状ですが、その原因はさまざまであり、早期の対応が重要です。お悩みの方は、ぜひ当院にご相談ください。
猫の下痢は、一般的に便が水分を多く含み、形が崩れている状態を指します。
下痢の症状が見られた場合、まずは猫の体調をよく観察することが大切です。猫の下痢の特徴として、次のような症状が挙げられます。
1. 便の状態の変化
普段の便に比べて水分が多く、形が崩れている場合がほとんどです。色や匂いが普段と異なることもあります。
2. 回数が増える
下痢の場合、便の回数が通常より増えることがよくあります。トイレの前後に不安そうな様子や頻繁にトイレに行く姿が見られることがあります。
3. 元気の低下
下痢が続くと猫の元気がなくなることがあります。食欲不振や遊ばなくなるなど、普段と違う行動が見られることがあります。
4. 嘔吐や腹部膨満
下痢に加えて、嘔吐が見られることがあります。腹部が膨らんでいる様子や、痛みを感じているような動きが見られる場合もあります。
5. 脱水症状
下痢が続くことで体内の水分やミネラルが失われ、脱水症状が現れることがあります。口の乾きや皮膚がたるんでいる、目がくぼんでいるなどの症状が見られた場合は注意が必要です。
これらの症状が見られた場合、早めに獣医師に相談することをおすすめします。
猫の下痢は非常に多くの原因が考えられます。以下に代表的な原因を挙げ、それぞれについて解説します。
1. 食事の変化や不適切な食事
食事が急に変わることで、消化不良を起こすことがあります。また、猫は肉食動物であり、植物や乳製品を消化しにくいため、これらを与えることが下痢を引き起こす原因になります。キャットフードの品質や種類が合わないこともありますので、食事の内容には十分注意しましょう。
2. ウイルス感染
猫にはいくつかのウイルスが下痢を引き起こすことがあります。例えば、猫パルボウイルスやコロナウイルスは、猫の消化器系に影響を与え、下痢や嘔吐を引き起こすことがあります。これらのウイルスは、ワクチン未接種や免疫力が低下している猫が疾患すると危険です。
3. 細菌感染
サルモネラ菌や大腸菌、クロストリジウム菌など、猫の腸内に感染する細菌も下痢の原因になります。細菌による感染は、食べ物や水、あるいは汚染された環境から感染することが多いです。
4. 寄生虫感染
寄生虫、特に回虫や鉤虫、コクシジウム、トリコモナスなどの腸内寄生虫も猫の下痢を引き起こす原因となります。これらの寄生虫は、猫が外に出る場合や他の猫と接触、母親からや、新しい子をお迎えする際に感染することが多いです。
5. ストレスや環境の変化
環境の変化やストレスも猫の下痢を引き起こすことがあります。引っ越しや新しいペットの導入、飼い主の長期間の不在など、猫が感じるストレスが腸に影響を与え、消化不良や下痢を引き起こすことがあります。
6. アレルギーや食物不耐症
猫が特定の食材にアレルギーを持っている場合や食物不耐症を持っている場合、それが原因で下痢が発生することがあります。鶏肉や牛肉、穀物などがアレルゲンとなることがあります。
7. 腸の病気や炎症
慢性的な下痢は、腸の病気や炎症性腸疾患(IBD)などが原因であることがあります。これらの病気は腸の壁に炎症を引き起こし、便の排出を正常にする機能を損なうことがあります。
猫の下痢が続く場合、診断を受けることが非常に重要です。診断には、まず猫の症状や病歴を詳しく聞き取り、その後、必要に応じて以下の検査を行います。
1. 便検査
下痢の原因が細菌や寄生虫の場合、便の検査が重要です。顕微鏡で便を検査し、寄生虫や病原菌の有無を確認します。場合によって便をPCR検査を行って遺伝子レベルで調べることもあります。
2. 血液検査
血液検査を行うことで、感染症や内臓疾患が原因であるかを調べます。炎症反応や脱水症状の程度も確認できます。
3. レントゲンや超音波検査
腸の病気や異物の有無を確認するために、レントゲンや超音波検査を行うことがあります。特に異物を飲み込んだ可能性がある場合に有効です。
4. 内視鏡検査
内視鏡を使用して、腸内の状態を直接確認することもあります。その際に組織の一部を取り、顕微鏡検査や遺伝子検査を行います。慢性下痢の原因を探る際に行われることが多い検査です。
猫の下痢の治療方法は、原因に応じて異なります。以下は一般的な治療方法です。
1. 食事療法
食事が原因である場合、まずは食事の変更が求められます。消化の良いフードを与えることや、食物アレルギーが疑われる場合にはアレルゲンを避けたフードを選びます。
2. 抗生物質や駆虫薬
細菌や寄生虫が原因である場合、抗生物質や駆虫薬を処方します。これらは獣医師の指示に従い、適切に使用することが重要です。
3. 抗炎症薬や免疫抑制薬
炎症性腸疾患(IBD)が原因である場合、抗炎症薬や免疫抑制薬を使って炎症を抑える治療を行います。
4. プレバイオティクス・プロバイオティクス
腸内細菌環境の悪化によって下痢を起こす場合があります。その際は菌の栄養素(プレバイオティクス)や善玉菌(プロバイオティクス)の補充を行うことで腸内細菌環境を整えます。その際にはその猫ちゃんにあったサプリメントをご紹介いたします。
5. 水分補給
脱水症状が見られる場合、点滴による水分補給が必要です。自宅での水分補給も重要ですが、脱水が進行している場合は病院での治療が必須です。
6. ストレス管理
ストレスが原因で下痢を引き起こしている場合、生活環境の改善やストレスを減らすための対策が必要です。
ワンちゃんやネコちゃんの嘔吐や下痢は、ほとんどの場合は、一過性のもので、適切な治療によりすぐに改善することがほとんどです。ですが、一部で重大な病気が隠れており、適切な検査や原因疾患へのしっかりとした治療が必要となる場合もあります。当院では、そのあたりを問診や一般身体検査から判断し、飼い主様と十分相談してから、必要と判断されれば検査をお勧めさせていただいております。
検査が必要とされた場合、血液検査、レントゲン検査、超音波検査、糞便検査が実施可能です。内視鏡処置や外科手術などが必要な場合も対応可能です。
異物の除去から、腫瘍の切除、消化管の吻合など様々な手術実績があります。また、胃捻転や消化管閉塞など、緊急を要する手術も可能です。消化管の手術は、術後の入院管理も重要になります。当院では、輸血を含むカロリー輸液やカテーテルによる経胃経腸栄養療法などで、治癒の促進に努めています。
猫の下痢は軽度なものから重篤なものまでさまざまです。症状が続く場合や悪化する場合は、早めに動物病院を受診してください。
当院では、猫の下痢に関する専門的な治療を行っていますので、ぜひご相談ください。