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犬の血便の症状、原因、治療法について獣医師が解説|立川市のあまの動物病院

立川市・東大和市・小平市・国分寺市・武蔵村山市・昭島市の皆様、こんにちは。
東京都立川市にあるあまの動物病院の獣医師です。今回は犬の血便について、その症状や原因、治療法について詳しく解説いたします。血便は犬にとって非常に深刻な症状であることが多く、早期に対応することが重要です。日頃から愛犬の健康に気を配り、異常に気づいた際は早めに専門家に相談することをおすすめします。

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犬の血便の症状

犬の血便は、便に血液が混ざっている状態を指します。

血液の色や便の状態によって、どの部分に問題があるかをある程度推測することができます。

以下のような症状が見られた場合、注意が必要です。

  1. 黒い便(タール便)
    黒っぽく粘り気のある便が出る場合、上部消化管(胃や小腸)からの出血が原因である可能性があります。血液が消化されて黒くなるため、このような便が見られた場合は、すぐに病院を受診することをおすすめします。
  2. 赤い血液が混じった便(鮮血便)
    鮮血が混じる場合、下部消化管の肛門近く(大腸や直腸)からの出血が考えられます。便が鮮やかな赤色をしている場合、腸内の炎症や感染症、ポリープ、腫瘍が疑われます。
  3. 赤〜オレンジ〜赤褐色の粘液のような便
    1〜2の中間のような便で粘液のような形状をしている場合、下部消化管の上部(盲腸や大腸)からの出血が考えられます。上部なので水分の吸収や血が変色してこのような色となります。この場合も腸内の炎症や感染症、ポリープ、腫瘍が疑われます。
  4. 下痢や嘔吐
    血便とともに下痢や嘔吐が見られる場合、消化器系の病気や感染症の可能性が高くなります。子犬や免疫力の弱い犬では、感染症、成犬の場合は消化器系の病気が原因の場合が多いため、早急な対応が必要です。
  5. 食欲不振や元気がない
    血便が見られると、愛犬が食欲を失ったり、元気がないことがあります。これらは、犬の体が痛みや不快感を感じているサインであり、病院での診察が必要です。

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犬の血便の原因

犬の血便の原因は非常に多岐にわたります。以下のようなものが考えられます。

  1. 消化管の炎症(炎症性腸疾患)
    炎症性腸疾患(IBD)などが原因で腸内に炎症が起きると、便に血液が混ざることがあります。炎症が進行すると、下痢や血便、さらには体重減少や嘔吐を伴うことがあります。
  2. 腸内の寄生虫
    特に子犬の場合、寄生虫(回虫、鉤虫など)が腸内に寄生することで、腸内が傷つき、血便が出ることがあります。寄生虫の駆除は比較的簡単ですが、放置すると深刻な健康問題を引き起こす可能性があります。
  3. 消化不良や食事の影響
    犬は人より腸粘膜が弱いため、消化不良を起こすと、腸内で炎症が起き、血便を引き起こすことがあります。また、異物(例えばプラスチックや骨など)を食べてしまった場合、それが腸内で傷をつけ、出血を引き起こすこともあります。
  4. 感染症(細菌やウイルス)
    サルモネラ菌や大腸菌、さらには犬パルボウイルスなどのウイルス性の感染症が原因で、血便が見られることがあります。これらの感染症は重篤な場合があり、早期の治療が重要です。
  5. 腫瘍やポリープ
    腸内に腫瘍やポリープができると、それが出血を引き起こすことがあります。特に高齢犬では、腸の腫瘍が原因となって血便が出ることがあります。腫瘍が悪性の場合、早期発見と治療が重要です。
  6. 外傷
    事故や衝撃などで腸に外的な衝撃を受けると、腸が傷ついて出血を伴うことがあります。この場合、傷口が治癒するまでに時間がかかることがあるため、早期の診断と治療が必要です。


犬の血便の診断

犬の血便の原因を突き止めるためには、いくつかの診断方法が必要です。獣医師は、犬の症状や病歴を元に、以下のような検査を行います。

  1. 問診と身体検査
    最初に、飼い主から症状の詳細(血便がいつから始まったか、他の症状はあるかなど)を聞き取ります。また、犬の体調や体温、腹部の触診を行い、腸の状態や痛みを確認します。
  2. 糞便検査
    便に寄生虫がいるかどうか、また細菌やウイルスが原因であるかを調べるために糞便検査が行われます。便を顕微鏡で観察し、異常がないかを確認します。場合によっては便を遺伝子検査(PCR検査)にかけることもあります。
  3. 血液検査
    血液検査を行うことで、犬の全体的な健康状態や感染症の有無を確認します。白血球数の増加や貧血の兆候が見られる場合、何らかの感染症や出血が疑われます。
  4. 超音波検査やX線検査
    腸内の異常(腫瘍や異物)がある場合、超音波検査やX線検査を行うことで、腸内の状態を確認します。特に腫瘍や異物が疑われる場合には、これらの画像診断が重要です。
  5. 内視鏡検査(胃カメラ、腸カメラ)
    より詳細な検査が必要な場合、内視鏡を使って直接腸内を観察することがあります。これにより、ポリープや腫瘍、炎症の状態を確認できます。

犬の血便の治療

犬の血便の治療は、原因によって異なります。治療方針を決めるために、まずは正確な診断が重要です。

  1. 寄生虫駆除
    寄生虫が原因で血便が出ている場合、駆虫薬を使用して寄生虫を取り除きます。駆虫薬は比較的短期間で効果が現れ、血便も改善されることが多いです。
  2. 抗生物質や抗ウイルス薬
    感染症が原因で血便が出ている場合、抗生物質や抗ウイルス薬を使って感染を抑える治療が行われます。特にパルボウイルスやサルモネラ感染の場合、早期の治療が命を守ることになります。
  3. 炎症性腸疾患の治療
    炎症性腸疾患(IBD)の場合、抗炎症薬や免疫抑制薬を使って腸の炎症を抑える治療が行われます。食事療法やサプリメント補助も重要です。
  4. 外科的処置
    腸内に異物や腫瘍がある場合、手術が必要となることがあります。異物を取り除いたり、腫瘍を摘出するために外科的処置を行います。
  5. 栄養管理
    血便が続いていると犬は栄養不足に陥りやすいため、点滴や栄養補助食品を使って栄養状態を改善することもあります。

あまの動物病院の消化器科治療の特徴

①必要な検査をすること、必要ではない検査はしないこと

ワンちゃんやネコちゃんの嘔吐や下痢は、ほとんどの場合は、一過性のもので、適切な治療によりすぐに改善することがほとんどです。ですが、一部で重大な病気が隠れており、適切な検査や原因疾患へのしっかりとした治療が必要となる場合もあります。当院では、そのあたりを問診や一般身体検査から判断し、飼い主様と十分相談してから、必要と判断されれば検査をお勧めさせていただいております。

②様々な検査や治療方法が対応可能

検査が必要とされた場合、血液検査、レントゲン検査、超音波検査、糞便検査が実施可能です。内視鏡処置や外科手術などが必要な場合も対応可能です。

③豊富な手術実績と術後管理

異物の除去から、腫瘍の切除、消化管の吻合など様々な手術実績があります。また、胃捻転や消化管閉塞など、緊急を要する手術も可能です。消化管の手術は、術後の入院管理も重要になります。当院では、輸血を含むカロリー輸液やカテーテルによる経胃経腸栄養療法などで、治癒の促進に努めています。


終わりに

犬の血便は、軽度の問題から命に関わる重大な病気まで、様々な原因で引き起こされます。血便を発見した場合は、すぐに専門の獣医師に相談し、適切な治療を受けることが大切です。

あまの動物病院では、犬の健康を守るための診断と治療を行っています。気になる症状があれば、ぜひ一度ご相談ください。