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犬の尿石症の症状や原因、治療法について獣医師が解説|立川市のあまの動物病院

立川市・東大和市・小平市・国分寺市・武蔵村山市・昭島市の皆様、こんにちは。

東京都立川市にあるあまの動物病院です。

今回は、犬の尿石症について、病気の症状や原因、治療法について解説していきます。

当院では、犬の尿石症の治療を行っておりますので、お悩みの場合は一度ご相談ください。

 

 

尿石症とは》

尿石症とは、犬の尿路(腎臓、尿管、膀胱、尿道)に結石が形成される病気です。結石は尿中のミネラルや有機物が結晶化し、固体となったものです。この結石が尿路に詰まり、様々な症状や合併症を引き起こします。尿石症は一般的な犬の泌尿器疾患の一つであり、放置すると命に関わることもあります。特に、オス犬は尿道が細いため、結石による閉塞が起こりやすく、早期発見と治療が不可欠です。

 

 

《尿石症の症状》

尿石症の症状は結石の位置や大きさによって異なります。一般的な症状には以下のようなものがあります:

  1. 頻尿:犬が頻繁に排尿しようとしますが、少量しか出ないか、全く出ないことがあります。これは結石が尿路を部分的に塞ぐために起こります。
  2. 血尿:尿に血が混じることがあります。これは結石が尿路の内壁を傷つけるために起こります。
  3. 排尿時の痛み:犬が排尿時に痛がる様子を見せることがあります。鳴き声をあげたり、排尿姿勢を取ることを避けるようになります。
  4. 尿道閉塞:結石が尿道に詰まると、完全に排尿できなくなることがあります。これは非常に危険で、早急な治療が必要です。排尿できない状態が続くと、腎臓に負担がかかり、最悪の場合、腎不全を引き起こすことがあります。
  5. 腹痛:犬が腹部を触られるのを嫌がったり、痛がることがあります。特に膀胱や腎臓に結石がある場合に結石が臓器を傷つけることで見られます。
  6. 元気消失:犬が元気をなくし、食欲不振や活動性の低下が見られることがあります。これは体内での炎症反応や痛みによるものです。

 

《尿石症の原因》

尿石症の原因は複数あり、それらが組み合わさることで発症します。主な原因として以下が挙げられます:

  1. 食事:特定のミネラル(例えばカルシウムやマグネシウム)を多く含む食事やミネラルウォーターなどは結石形成のリスクを高めます。また、過剰なビタミンC、ビタミンDの摂取も結石の形成を促進することがあります。
  2. 遺伝的要因:特定の犬種(シュナウザー、ダルメシアンなど)は遺伝的に尿石症になりやすいことが知られています。特にダルメシアンは尿酸結石が多く見られます。
  3. 水分摂取不足:水分摂取が少ないと尿が濃縮され、結石が形成されやすくなります。これは特に暑い季節や運動後に起こりやすいです。
  4. 尿路感染症:細菌感染が結石の形成を助長することがあります。特にストルバイト結石は、尿路感染症に伴って形成されることが多いです。
  5. 代謝異常:体内の代謝異常が結石形成の一因となることがあります。例えば、高カルシウム血症はカルシウム結石の形成を促進します。

《尿石症の診断》

尿石症の診断は以下の方法で行われます:

  1. 身体検査:獣医師が腹部を触診し、痛みや異常を確認します。膀胱が腫れている場合や、結石が触知できる場合があります。
  2. 尿検査:尿中の結晶、血液、細菌、異常成分などを確認します。また、pH値の測定も行います。尿のpH値は結石の種類を特定する手がかりとなります。また、場合によって腎機能の検査も行います。
  3. 血液検査:腎機能や電解質の異常を確認します。特に血中のカルシウム、リン、尿素窒素、クレアチニン、SDMAのレベルが重要です。
  4. 画像診断:X線や超音波検査で結石の位置や大きさを確認します。X線はカルシウムを含む結石(例えばカルシウムオキサレート結石)を特定するのに有効です。超音波検査は腎臓や膀胱の結石を可視化するのに役立ちます。

《尿石症の治療》

尿石症の治療は、結石の種類や大きさ、位置によって異なります。一般的な治療法として以下が挙げられます:

  1. 食事療法:特定の処方食を与えることで、尿のpHを調整し、結石の形成を防ぎます。また、既に存在する結石を溶かす効果も期待できます。例えば、ストルバイト結石は食事療法で溶解可能です。
  2. サプリメント:食事の変更が難しい、または効果が薄い場合、サプリメントによる補助治療を行う場合があります。サプリメントも様々な種類や形状があります。
  3. 薬物療法:抗生物質や鎮痛剤を使用し、尿路感染症や痛みを緩和します。また、結石の成分に応じた薬を投与することもあります。
  4. 水分摂取の増加:犬が十分な水分を摂取するように工夫します。これは尿を希釈し、結石の形成を防ぐために重要です。新鮮な水を常に提供し、飲水量を増やす工夫を行います。また、トイレをする機会を増やして尿を貯めないことも重要です。
  5. 外科的治療:大きな結石や尿道閉塞を引き起こす結石は、外科手術で取り除く必要があります。手術はリスクを伴いますが、緊急時には不可欠です。手術後の管理も重要で、再発防止のための食事管理や定期検査が必要です。

尿石症は再発しやすい病気であるため、治療後も定期的な検査や予防策が重要です。適切な食事管理と水分摂取の確保、定期的な尿検査を行い、再発を防ぐことが必要です。

《まとめ》

尿石症は犬にとって非常に苦痛を伴う病気であり、早期発見と適切な治療が重要です。飼い主としては、犬の排尿行動や尿の状態を日頃から注意深く観察し、異常を感じたら早めに獣医師に相談することが大切です。また、予防策として適切な食事と水分補給を心がけることが、尿石症の発症リスクを低減するために有効です。定期的な健康チェックを欠かさず、愛犬の健康を守りましょう。尿石症は適切に管理することで、犬の生活の質を大きく向上させることができます。飼い主と獣医師が協力し合い、最善のケアを提供することが、犬の健やかな生活を支える鍵となります。