【獣医師が解説】犬の咳の症状や原因、治療法｜立川市のあまの動物病院
【獣医師が解説】犬の咳の症状や原因、治療法｜立川市のあまの動物病院
立川市・東大和市・小平市・国分寺市・武蔵村山市・昭島市の皆様、こんにちは。
東京都立川市にあるあまの動物病院です。
今回は、犬の咳（せき）について、症状・原因・診断方法・治療法を獣医師がわかりやすく解説します。犬の咳は「風邪かな？」と思われがちですが、呼吸器感染だけでなく、心臓病やアレルギーなど様々な病気のサインであることがあります。
当院では、原因を正確に特定し、ワンちゃん一頭一頭に合った治療を行っています。
咳が続く・夜に苦しそう・息切れなどが見られる場合は、早めにご相談ください。
犬の咳の症状（タイプ別の特徴）
- 乾いた咳（コンコン／カハッ）：のどの炎症、気管虚脱、気管支炎などで多い。
- 湿った咳（ゼーゼー／ゴホゴホ）：痰を伴い、気管支炎・肺炎の可能性。
- 興奮時・散歩後の咳：気管虚脱や心臓病の初期で見られることあり。
- 夜間・安静時に強い咳：心不全による肺うっ血が関与する場合。
併発しやすいサイン：呼吸が荒い／元気・食欲の低下／チアノーゼ（舌が紫）など。
「風邪」と自己判断せず、早めの受診をおすすめします。
犬の咳の主な原因
犬種・体重との関係
ヨークシャー・テリア、ポメラニアンなどは気管が弱く、幼少期から咳が多いことがあります（ケンネルコフとの鑑別が重要）。
また、体重過多では気道が圧迫され、咳・いびき・呼吸困難のリスクが上がります。
感染症
ケンネルコフ（犬伝染性気管気管支炎）はウイルス・細菌が原因で、犬同士でうつることがあります。子犬やドッグラン／ホテル／サロン利用の子は注意。
高齢では鼻炎の誤嚥から誤嚥性肺炎を併発することも。くしゃみ・鼻水・鼻血を伴う場合は受診を。
気管・気道の異常
小型犬に多い気管虚脱・気管支虚脱では、吸気・呼気で気管腔が狭くなり慢性咳を生じます。興奮時や首輪の牽引で増悪しやすいのが特徴です。
アレルギー
ハウスダスト、花粉、香料、たばこの煙などに反応して咳が出ることがあります。
環境整備（清掃・換気・空気清浄）の徹底が重要です。
心臓病
中高齢犬で多い僧帽弁閉鎖不全症では、心拡大が気管を圧迫して咳を誘発し、進行で肺うっ血や呼吸困難につながります。
その他の原因
肺炎、慢性気管支炎、腫瘍、フィラリアなど。フィラリア症は予防薬で防げるため、定期的な予防が大切です。
受診の目安（緊急性のチェック）
- 2〜3日以上咳が続く、または増悪している
- 夜間・安静時にも呼吸が苦しそう、休めない
- 舌や歯茎が紫色（チアノーゼ）、失神やぐったり
- 発熱・食欲低下・嘔吐・元気消失を伴う
- 高齢・基礎疾患あり／子犬で急な症状
犬の咳の診断方法
まず問診・聴診・触診で咳の性質と発生状況を把握し、必要に応じて以下を実施します。
- 胸部レントゲン：気管・肺・心臓の形状や陰影を評価
- 心エコー：心臓病の有無・進行度を評価
- 血液検査：炎症・感染・フィラリア抗原など
- 気管支鏡：原因不明の慢性咳で気道内を直接観察（全身麻酔が必要）
複数要因が重なっていることも多く、総合的な評価で最適な治療方針を決定します。
犬の咳の治療
感染症の場合
抗菌薬・抗炎症薬などを用い、安静と保温を徹底。他犬との接触は一時的に控えます。
気管虚脱の場合
軽度は内服（気管支拡張薬・鎮咳薬）でコントロール。
近年は注射による気管支持の強化で良好な成績も報告され、当院でも症例に応じて検討します。
重度や呼吸困難例では外科的治療（気管ステント等）を検討。日常では首輪→ハーネス、体重管理が重要です。
アレルギー性の場合
原因特定と環境整備に加え、抗ヒスタミン薬・ステロイドなどで症状を緩和。清掃・換気・空気清浄機も有効です。
心臓病の場合
強心薬・利尿薬などで心負荷を軽減し進行を抑制。定期的な心エコーでコントロールを最適化します。
フィラリア症の場合
感染時は状態に応じて駆虫治療を実施。毎月の予防薬で感染予防が可能です。
飼い主様へのお願い
犬の咳は「そのうち治る」と様子見されがちですが、重大疾患の初期症状であることも珍しくありません。
2〜3日以上継続・夜間悪化・呼吸が荒いなどがあれば、早めに受診してください。
当院はレントゲン・エコー等の画像診断体制を整え、原因に合わせた治療を行っています。
あまの動物病院｜東京都立川市
犬・猫・うさぎ等の小動物に対応。地域の皆さまの大切なご家族の健康を守るため、丁寧な診察とわかりやすい説明を心がけています。
立川市周辺（東大和市・小平市・国分寺市・武蔵村山市・昭島市）で、「咳が長引く」「息苦しそう」「元気がない」など気になる症状があれば、お気軽にご相談ください。